教学館特別講義ダイジェスト
教学館 特別講義 2012年1月20日
「スピリチュアルケアにおける宗教的課題を考える」
賀来 周一先生
1月は、キリスト教カウンセリングセンター相談所長の賀来周一先生より「スピリチュアルケアにおける宗教的課題」について拝聴しました。
○スピリチュアルケアとは
死にゆく人が充実感を持ちながら死を受容していけるように、心理的な、社会的な視点からのケアから、人間のQOL(Quality of Life 人生の質)を高めることを重視し死を看取るケアをターミナルケアという。
しかし、今日では、人知を超える領域を伴いながら、究極的な慰めとなる答えが必要とされ、宗教的、あるいは哲学的な視点からのケアが必要とされるようになってきた。
このような「生き死に」の根源が危機的かつ実存的に問われるスピリチュアルペインに対するケアをスピリチュアルケアという。ここでのスピリチュアルとは、特定の組織宗教によらず、神秘主義的な傾向によるものでもなく、広く一般社会に受け入れられる、「成熟した宗教性」を意味する。
○スピリチュアルペインの発生因
人間の知恵では究極的な答えを持つことのできない問い、スピリチュアルペインを類別してみると、
「なぜ存在するのか」と存在の理由を問う①存在論的問い、
「何のために存在するのか」と存在の目的を模索する②目的論的問い、
「なぜ、私にこんなことが」と絶望の中に取り残されたような気持ちを抱える③不条理の問い
に分けることができる。
①は、「存在(いること)」より「行為(すること)」に価値を置く現代社会の価値観、
②は、存在の目的を有為性(役に立つ)に置く価値観、
③は、運命論、倫理論への疑念が、それぞれ起因となっている。
このようにスピリチュアルペインの発生因には、普遍性、合理性、客観性というパラタイムの中で成立している現代社会の構築原理である科学の知が関係している。
そして、その中で見失っていた「生き死に」の根源というものが問われるような事態に対して、科学の知では答えを持たないという科学の知の限界が見えてきた。
○スピリチュアルペインへの援助の目的
スピリチュアルケアの大きな目標は、自らの「生き死に」について、人それぞれの「私の物語」を作るための援助をすることである。
例えば、存在を肯定することによって「私の物語」は完成し、安心感を得られる。しかし不条理の問いの中で「私の物語」が未完成である場合、死の向こう側の見えない世界や究極的存在に対して、お任せし「委ねる」ことができるかどうかが問われてくる。
「委ねる」ものを持つことは、生き方が定まることとなり、日常をそのまま受容して日々を過ごすという境地に達するのである。
明日が世界の終わりだとしても、それにも関わらず、希望を持って、昨日までずっと坦々としてきた人間の営みを続けるという、「明日が世界の終わりでも私は今日りんごの木を植える」生き方を生むことがスピリチュアルケアの究極的な目的とも言える。
3月27日の特別講義「宗教者としてのスピリチュアルケアのありかた」に続きます。
「スピリチュアルケアにおける宗教的課題を考える」
賀来 周一先生
1月は、キリスト教カウンセリングセンター相談所長の賀来周一先生より「スピリチュアルケアにおける宗教的課題」について拝聴しました。
○スピリチュアルケアとは
死にゆく人が充実感を持ちながら死を受容していけるように、心理的な、社会的な視点からのケアから、人間のQOL(Quality of Life 人生の質)を高めることを重視し死を看取るケアをターミナルケアという。
しかし、今日では、人知を超える領域を伴いながら、究極的な慰めとなる答えが必要とされ、宗教的、あるいは哲学的な視点からのケアが必要とされるようになってきた。
このような「生き死に」の根源が危機的かつ実存的に問われるスピリチュアルペインに対するケアをスピリチュアルケアという。ここでのスピリチュアルとは、特定の組織宗教によらず、神秘主義的な傾向によるものでもなく、広く一般社会に受け入れられる、「成熟した宗教性」を意味する。
○スピリチュアルペインの発生因
人間の知恵では究極的な答えを持つことのできない問い、スピリチュアルペインを類別してみると、
「なぜ存在するのか」と存在の理由を問う①存在論的問い、
「何のために存在するのか」と存在の目的を模索する②目的論的問い、
「なぜ、私にこんなことが」と絶望の中に取り残されたような気持ちを抱える③不条理の問い
に分けることができる。
①は、「存在(いること)」より「行為(すること)」に価値を置く現代社会の価値観、
②は、存在の目的を有為性(役に立つ)に置く価値観、
③は、運命論、倫理論への疑念が、それぞれ起因となっている。
このようにスピリチュアルペインの発生因には、普遍性、合理性、客観性というパラタイムの中で成立している現代社会の構築原理である科学の知が関係している。
そして、その中で見失っていた「生き死に」の根源というものが問われるような事態に対して、科学の知では答えを持たないという科学の知の限界が見えてきた。
○スピリチュアルペインへの援助の目的
スピリチュアルケアの大きな目標は、自らの「生き死に」について、人それぞれの「私の物語」を作るための援助をすることである。
例えば、存在を肯定することによって「私の物語」は完成し、安心感を得られる。しかし不条理の問いの中で「私の物語」が未完成である場合、死の向こう側の見えない世界や究極的存在に対して、お任せし「委ねる」ことができるかどうかが問われてくる。
「委ねる」ものを持つことは、生き方が定まることとなり、日常をそのまま受容して日々を過ごすという境地に達するのである。
明日が世界の終わりだとしても、それにも関わらず、希望を持って、昨日までずっと坦々としてきた人間の営みを続けるという、「明日が世界の終わりでも私は今日りんごの木を植える」生き方を生むことがスピリチュアルケアの究極的な目的とも言える。
3月27日の特別講義「宗教者としてのスピリチュアルケアのありかた」に続きます。
by douzyouzi | 2012-02-09 17:24 | 日記
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